インプラントのデメリット5つと治療後に起こり得るトラブル4つ
インプラント治療を検討している人のなかには、デメリットの話も聞き迷っている人もいるのではないでしょうか。どんな治療にもメリットもあればデメリットも存在するように、特徴を把握したうえで治療を続けるかどうかを判断しなくてはいけません。インプラント治療を始めたものの「こんなはずじゃなかった…」と後悔することのないように、デメリットについても目を向けておくようにしましょう。インプラント治療のメリットも把握したうえで、適切な治療を行うようにしてください。
もくじ
そもそもインプラントとは?
インプラントとは、顎の骨に人工歯根=インプラント体を埋め込んで、上部構造を装着する治療方法のことをいいます。歯を補う治療でもあり、歯根のない人でも取り戻すことができます。そもそもインプラントとは、植え付ける、差し込む・移植などの意味を持った言葉です。
インプラント治療は物損により歯を失った人や虫歯、先天的に歯のない人でも治療を受けられます。1本のみならず、すべての歯に対して対応できるのも特徴です。そのため、天然歯と同じ感覚で咀嚼もでき、入れ歯よりも快適に過ごせるようになります。しっかりと噛めるようになるため、入れ歯とは違い顎の骨が痩せるのを防ぐ効果もあります。独立した歯になるため、他の健康な歯を削ることもありません。
インプラントの主なデメリット5つ
日本では治療技術の進歩や実施医院が増加していることで、インプラントを選択する人も増えています。ただ、インプラントにはメリットだけではなくデメリットも存在します。現在、インプラントの治療を検討している人は、事前にデメリットも含め知っておくことが大切です。具体的にどのようなデメリットがあるのか、インプラント治療で覚えておきたい5つの項目を紹介したいと思います。
高額な治療費が発生する
インプラントのデメリットの一つに、他の義歯を装着する治療のなかでも費用が高額であることが関係しています。一般的なインプラント費用の平均額は320,000円~となり、入れ歯やブリッジと比較しても自費治療になるからこそ高額になってしまうことも少なくありません。ただし、治療が年間10万円を超えた場合や、所得の5%を超えた場合は、医療費控除にて所得税の還付が受けられる仕組みがあります。歯科医院によってはデンタルローンも選択できるので支払の負担を減らせるようになります。
ほかの治療法と比べて治療期間が長い傾向にある
インプラント治療は、他の治療法と比べて治療期間が長い傾向にあります。個人差もあるため一概にはいえませんが、3か月~6か月程度かかると覚えておくのをおすすめします。実際に患者さんの口腔内の状態を確認したうえで、難しい症例かどうかが決まります。入れ歯やブリッジに比べると治療期間が長い点はやや負担に感じることもあると思います。仕事や育児が忙しい人にとっても、時間を避けないからこそ大きな負担に感じてしまうことも出てきます。
噛む感覚や見た目が変化する可能性がある
インプラント治療をした人のなかには、噛む感覚の違いを感じる人もいます。基本的には咀嚼力も高まりますし、舌や口腔内の感触に大きな違いがありません。それでも、感覚の違いが出るのは歯根膜が影響している可能性もあり、ものを噛むときにクッションのような役割をしてくれるものです。歯を抜歯したときに歯と一緒に失われてしまうため、噛んだときの感触が鈍くなり食べ物の味が落ちているように感じてしまう人もいます。また、インプラントで歯のない部分に人工歯根を埋め込むと顔のバランスが変わってしまい見た目に影響することも感じられます。
外科手術を伴う
麻酔を使用した外科手術が必要になる点も、デメリットの一つといえるでしょう。手術では食所麻酔や静脈内鎮静法を使うことで、痛みを緩和できる仕組みです。ただ、外科手術に対して不安に思う人もいますし、体への負担も避けることはできません。高齢の人など体力面で難しい人は、インプラント治療を希望しても受けられなくなってしまうこともあります。事前のカウンセリングでも丁寧に説明いたしますので、わからない点があれば気軽に質問するようにしてください。
術後のメンテナンスが必須となる
インプラントの治療による術後に、定期的なメンテナンスも必要になります。メンテナンスを受けないと、インプラント周囲炎にかかってしまうこともあり、治療のやり直しになってしまうこともあります。インプラントの保証を受けるためにも、定期的に歯科医院にてメンテナンスを受けているなどの条件が決められている可能性もあります。メンテナンスを大きな負担として感じてしまうこともあるため、デメリットの一つといえるでしょう。
インプラント治療後に起こり得るトラブル4つ
インプラント治療後に、トラブルに巻き込まれてしまうことも考えられます。インプラント治療では、医師の技術力はもちろんインプラントとの相性も重要になってきます。お手入れ次第では、治療が終わった後に何かしらのトラブルが起こる可能性も考えられます。具体的にどのようなメリットが考えられるのか、4つのトラブルについて詳しく解説したいと思います。
神経の損傷
トラブルとして考えられるものの一つに、神経の損傷があります。下顎には大きな神経が通っていることもあり、インプラントを埋入すると舌や唇、歯肉などに麻痺や味覚障害の症状が残ってしまうことがあります。事前にCTを撮影して神経の位置を細かく確認しておけば、避けられる部分だと思います。歯科医院によっても対応方法が変わってくる部分になるため、CTを撮影してくれるかどうか確認しておきましょう。インプラント専用の解析ソフトを使い、細かく審査してくれると安心して治療が受けられます。
インプラントの脱離
インプラントを埋入したあとに、骨の結合状態が悪く脱離してしまうこともあります。原因はいくつかあり正しいブラッシングが出来ていない、喫煙習慣があるなど患者側にある可能性も高くなります。ただ、必ずしも歯科医院に原因がないわけではなく、手術をするときに滅菌がきちんとできていなかった場合に、感染症が起こりインプラントの脱離に繋がってしまうこともあります。歯科医院を選ぶ時は滅菌を丁寧に行っている歯科医院を選ぶようにしてください。
金属アレルギー
インプラントの人工歯根の部分に「チタン」という金属が使われています。チタンはイオン溶出しにくいため、アレルギーのリスクが少ないといわれています。ただ、必ずしも金属アレルギーを引き起こさないわけではなく、チタンアレルギーに反応してしまう人もいます。アレルギーの心配がある人は、事前に歯科医院に相談しておくと安心です。気になる人向けに、事前のパッチテストを行っている歯科医院もあるため、どんな対応をしてくれるのか確認しておきましょう。
インプラント周囲炎
インプラントには特有の感染症があります。インプラント周囲炎は、人工歯根の周囲にある骨が溶ける病気になり、進行してしまうとインプラントの除去が必要になることもあります。インプラント周囲炎は歯周病菌に感染したあとに、インプラント周囲粘膜炎となり、インプラント周囲炎へと進んでいきます。しっかりと日頃のメンテナンスをしておくことが大切になるため、口内を清潔に保てるようにしましょう。インプラントを入れたあとも、しっかりと正しい歯磨きをするようにしてください。
悪い面ばかりではない?インプラントのメリット4選
インプラント治療にはさまざまなデメリットやリスクもあるものの、決して悪い面ばかりではありません。インプラントの治療には、多くのメリットも存在することを覚えておきましょう。
特に、代表的なメリットを4つ紹介していきたいと思います。
周囲の健康な歯を削らずに治療できる
インプラント治療は、周囲の健康な歯を削らずに治療ができるメリットもあります。例えば、失った歯の代わりにブリッジを装着する場合、周囲の歯に針金をかけるため削る作業も必要になってきます。少なからず健康な歯にかかる負担も出てきてしまうため、躊躇している人もいると思います。インプラントの場合は、顎の骨に人工歯根を埋め込んで人工の歯をとりつけるため、インプラントは周囲の健康な歯を削らずに治療が出来るので、大切な歯をより多く残せる可能性が高まります。
天然歯に近い感覚で食事や会話を楽しめる
インプラントは、人工の歯ではありますが本来の天然歯に近い感覚で食事や会話を楽しめる良さがあります。顎の骨に人工の器具を埋め込んで人工歯を取り付けているためです。食事のときに強く咀嚼することもできますし、発音に影響することもなく到来通りの会話を楽しめるようになります。入れ歯にしてしまうと前歯のずれがでてくることもありますし、舌のスペースが少なくなってしまいます。慣れるまでは話しにくさを感じることもありますが、舌の動きを制限されることはありません。
審美性に優れている
インプラントは審美性に優れており、天然歯に近い見た目を維持できるのもメリットの一つです。これは被せる部分にセラミックを使っているため、自然な歯の印象になり装着後に違和感を覚えることもありません。歯科医院によってはジルコニアを使うこともあり、見た目の美しさはもちろんプラークなどの汚れ
が付着しにくくなっています。
また、他の入れ歯やブリッジは笑ったときに針金部分が見えてしまうこともあります。できるだけ審美性を追求したい人にとっても、大きなメリットがあるのもインプラントの良さといえるでしょう。
骨が痩せるのを防げる
歯の骨が痩せてしまうのを防げるのも、インプラントのメリットです。顎骨にしっかりと固定されていることもあり、咀嚼で不便さを覚えることもありません。インプラントは咀嚼の力が骨に伝わるようになるため、顔全体の骨を維持することにも効果が期待できます。
咀嚼による影響で骨が痩せてしまうこともあり、大人でも変化する部分です。しっかりと咀嚼することで、骨が痩せても顔の形が変わってしまうことを防げるようになります。
インプラント治療を受ける歯科医院の選び方・ポイント
インプラント治療を受ける歯科医院を選ぶ時に、おさえておきたいポイントがあります。
インプラントは歯科医院の設備や歯科医師の技術によっても仕上がりに差が出てきます。
治療後のメンテナンスも含め、長期間通うようになるため納得できる歯科医院を選びましょう。
治療実績が豊富にあるか
歯科医院を選ぶ時に、様々な症例経験のある歯科医師かどうかを確認してください。どんな治療であっても臨床経験の有無が影響してきますが、前歯や奥歯、上下顎によって治療の選択肢も変わってきます。難症例も含めインプラント治療を行う医師には、さまざまな臨床経験があるかどうかが重要になってきます。インプラント治療は新しい方法や材料も増えているため、積極的に情報収集を行っているかどうかです。インプラントは国内外にさまざまな認定団体もあるため、基準も含め確認しておくのをおすすめします。
高品質なインプラントを採用しているか
インプラントの治療は、インプラント体の質によっても変わってきます。インプラント体そのものの実績や信頼性を見れば問題なく装着できるかどうかも違います。国内外にもたくさんのメーカーがありますが、最も有名なのは「ノーベルバイオケア」「ストローマン」などのスイスの会社です。インプラント治療でも安価な価格帯を打ち出している歯科医院では、インプラント体の品質そのものが落ちてしまうこともあります。追加で手術が必要になることも考えられるため、高品質なインプラントを採用しているかどうかは、必ず確認しておきましょう。
事前説明は丁寧かつ分かりやすいか
インプラント治療を受ける前に、治療計画についての事前説明を行います。カウンセリングのときほど、歯科医師の対応を見極めるチャンスといえます。患者さんの話にしっかりと耳を傾けて、話を聞いたうえで治療計画を立ててくれる歯科医院は安心できます。患者さんの不安を理解してくれる点はメリットといえるでしょう。ただ、事前説明が丁寧な歯科医院はカウンセリングが有料になることもあるのはデメリットです。
まとめ
インプラント治療を受けるデメリットはたくさんあるものの、メリットもたくさんあるのがわかってもらえたと思います。審美性はもちろん、健康な歯を守りつつ周囲の歯に与える影響も少なくなります。また、天然に近い感覚で食事や会話もできるので、インプラントの治療後にストレスを感じることもありません。一言にインプラントといっても質や歯科医師の技術によっても変わってくるからこそ、歯科医院を選ぶ時に参考にしてみてください。